オジュウチョウサンの偉業 第21回 中山グランドジャンプ観戦記
「さぁ、今日は障害の絶対王者オジュウチョウサンが偉業に挑む中山グランドジャンプです」
9時の放送開始とともにキャスターの声がTVから聞こえてくる
寝坊だ
4月13日 土曜日
自宅から中山競馬場まで急いで3時間弱かかる。余裕を持って13時頃着ければいいか。単騎参戦故時間を持て余しそうだ
9時30分
忘れ物はないか?カメラ、サイフ…
緊張で胃がキリキリするだろう。胃薬も忘れずに。
11時20分
途中のパーキングで休憩 心と身体を落ち着かせる。
ちょうど会社の同僚からメッセージ
「オジュウチョウサンの他に何買えばいい?」
「まぁ、タイセイドリームとニホンピバロン。おさえでマイネルプロンプトとシンキングダンサーでいいと思う。」
みんなオジュウチョウサンが強いのを知っているんだ
13時30分
昨年の中山大障害以来だ。オジュウチョウサンは有馬記念参戦の為不在だった。
アップトゥデイトが落馬した時の場内の悲鳴を今も覚えいる。もう一回対戦できるかな?
残念ながら踏み切ってじゃんぷーTシャツは売り切れだ。でも初代のTシャツは持っているのだ! 着てこなかったけどね。
ここでオジュウチョウサングッツやら中山グランドジャンプ出走馬にキーホルダーやボールペンが売られている。異常だ。障害レースのグッズが売られているなんて異常だ。ありがとうオジュウチョウサン。
お客はまばらだったがピークは過ぎたのかな?
ラピッドシップとオジュウチョウサンとシゲルボスザルの勝負服ストラップを購入。馬券が取れたら他のも買おう…
マークシートをとり早めに馬券購入へ
私の買い目はオジュウチョウサン1着固定、ラピッドシップ3着固定、2着に有力馬の三連単
2回ほどマークミスでやり直し
これもまたいいもんね。
結果は……ご存知の通り。
時間があるので競馬場の散策へ
小さな子供が多い印象だ もちろんガチンコおじさんもね。
第5障害付近にスタートゲートがあったのでパシャリ
天気は最高! 日陰に入るとちょっと寒いかな
15時ちょっと前
パドックへ
流石に人が多い。カメラを構える人が目立つ。もちろんガチンコおじさんもね。
私もカメラを持ち過酷なレースに挑む者たちを待つ。
馬 登場
タイセイドリームがいななく 気合十分だ。ニホンピバロンは落ち着いている。JG1を勝つとオーラが違ってくるのかな?
そして…
素人目にも1頭輝きが違うのがわかる。思わず「すげぇ…」と声が漏れる。これが絶対王者。はじめまして、オジュウチョウサン。
騎手が出てくる前にパドックとお別れ
直線の最終障害から50m位手前に陣取りその時を待つ。ブルーシートとブルーシートのつなぎ目にススっと入る。
最前列。
ここからは大竹柵が見える。
深呼吸
馬場入場がはじまる
各馬が返し馬で目の先を駆け抜けていく
((がんばれ))
障害レースの返し馬では馬に障害を見せる
以前何かの記事で石神騎手が、オジュウは障害を見せてるときにボロをすると調子がいい と言っていた。
今日はスッキリしたかな?
ターフビジョンに近年のグランドジャンプ優勝馬が映し出される。
「2014 アポロマーベリック」
…
「2015 アップトゥデイト」
…
「2016 2017 2018
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ…
笑い声も聞こえる。笑っちゃうほどすごい。
15時40分
年2回だけのJG1専用ファンファーレが鳴り響く
深呼吸
全人馬無事に
「スタートしましたぁ!」
その後実況は私の耳には聞こえなかった。
レースに夢中になっていた。
ミヤジタイガが引っ張る形。オジュウチョウサンは2番手をガッチリ確保。この時点でオジュウチョウサンの優勝は99%だなと確信。
相変わらずオジュウチョウサンの走法は頭が低く、リズムよく頭を上下している。
誰かが、オジュウチョウサンみたいに全身を使って走るのはスタミナの消耗をおさえられる、と言っていた。その通りだと思う。
大生け垣を越えてからの最初の障害でオジュウチョウサンは飛越ミスをした。去年もこの場所で変な飛越をしていたと思い出す。なんというか…2段ジャンプ…みたいな。並の馬ならそこでバランスを崩して落馬していたかもしれない。
オジュウチョウサンは決して飛越の上手い馬ではない。ただミスをリカバーするのに長けている。猫が空中で体をひねって着地するかのように。
競馬場にいると全体の状況がわからないがすごいレースだった。これは帰ってVTRを観て驚いた。
外周4コーナーを最初に回ってきたのはオジュウチョウサンだった。しかしすぐ後ろに何かがついてきていた。
タイセイか?ニホンピロか?
それは伏兵シンキングダンサーだった。
最終障害を2頭が並んで無事飛越
自分の目の前を2頭が走る
「オジュウゥゥゥ!!!いけーーー!!!」
自分でもビックリするぐらい声が出た。
結果はオジュウチョウサンがシンキングダンサーを突き放し中山グランドジャンプ4連覇を達成。カラジの3連覇を超え単独の連覇記録だ。
場内は拍手の波
歴史的な場面を目撃できて感無量といった感じか。もちろん私も。ガチンコおじさんも?
残念ながら最終障害で2頭が落馬し全馬完走とはならなかった。
人々がウイナーズサークルに向うなか私は地下道に入りそのまま船橋法典駅へ
もしかしたらもうオジュウチョウサンに会うことはないかもしれない。
私の見たオジュウチョウサンの最後の姿は走る姿にしたかった。心に刻んだ。
船橋法典駅に向う地下道、ちょうどカーブのところにテイエムオペラオーの写真があるので軽く会釈して帰路へ。
帰りは今日一日を思い返しながら帰ったのであっという間だった。
が、家に着いたら疲れがどっと出た。
眠い目をこすり録画した中山グランドジャンプを観る。そこには絶対王者に順々に挑んでいく勇敢な障害馬の姿があった。ニホンピバロンが競り、マイネルプロンプトが競り、タイセイドリームとシンキングダンサーがまとめて競る。
それをオジュウチョウサンは百人組み手のごとくなぎ倒し頂点に立ったのだ。
絶対王者を倒すんだという各陣営の熱い思いが画面を通して伝わってくる。馬を信じ臆せず挑む。
「人馬一体」
「強さ」は着差やタイムではない。どうやって勝ったかだ。
あらためてとんでもない馬だ。
明日も予定があるが、なかなか寝れそうにない
また寝坊だ